夕方

カクン、カクン、と姫が右足を庇うように歩いていた。

「...おい、どうした右足」

「...あ、せんせ、模擬戦やってたら切れちゃっターえへへー」

「また負けたのか」

「ブー、今度は勝ちましター」

「ほぅ、まあ、そんな怪我してたらまだまだだな」

「むー...」

「...顔色悪いぞ、お前」

「...そう？...えへへ、熱中症かなー？」

「...恐いものでも見たか？」

「...なんでー？」

「手首握り締めてる。恐い思いした時のお前の癖だろ」

「...」

「お前嘘下手だよな」

「...うるいだヨーせんせー」

「何見たんだ、桃」

「...えへへ...ナイショ♪」

「........そうか」

「あ、オレデザイナーさんのトコ行かなきゃ！せんせ、じゃねー♪」

「ん、気を付けろよー」





手錠。だろうな、と煙草に火を付けながら呟いた。

またどうせ夜中にぴーぴー泣いてるだろうから、電話でもしてやるか。